仕事に行けなくなる前々日
とある休日。
1年以上ぶりに、関西ジャニーズJr.の公演のチケットを友人がとってくれたため、
行くことになった。
チケットは2日分あり、次の日も有給をとって京都に行こうと話していた。
久しぶりの娯楽に、随分前から楽しみにしていた。
当日は緊急事態宣言も明けており、充分に対策したうえで移動した。
仕事を忘れて娯楽に浸る予定だったが、大量に仕事を残したままだった。
仕事が抱えきれないほどあるのはいつものことだが、その週はいつも以上にあった。
しかし、現場へ行かず出社する選択肢はとれなかったため、
ホテルで持ち帰った仕事を終わらす計画を立てた。
久しぶりの現場は信じられないほど幸せな空間だった。
気づけば夜中になっていて朝起きれずタクシーで仕事場に向かうような、
人の顔色を気にして胃が痛くなるような毎日とは正反対の、
キラキラしていて笑顔しかない空間が広がっていた。
涙が出た。
ただ、頑張ろうという気持ちは起きてこなかった。
この空間に逃げたい、みんなが笑っているような空間に逃げたいという気持ちで
いっぱいになった。
ホテルに帰り、重い気持ちでパソコンを開いた。
できればこの気持ちを消したくなくて仕事はしたくなかったが、
しなければ休み明けが地獄になるので、胃痛を感じながらログインすると、
同僚から、こちらを詰めるような連絡が大量に送られていた。
そこで頭が真っ白になり、手が動かなくなった。
気づけばパソコンを閉じて、アイドルの動画をひたすら見ていた。
今思えば、私の昔からの逃げ癖がここで出てしまったんだろう。
4年間封印していたのに。本当に情けなかった。